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日記ノートに書いてたら変になった。
独り言、つぶやく。



<7月24日>

四限の補習の後着替えて体育館へ行くと案の定もう片付けの段階に入ってる。

試合前だし、シュート打ってかえろっかな…
ーシュート打って行きます
「どーせ、シュート打たんとイチャイチャすんねんやろ」という同級生のニヤニヤ笑い。

…んなわけねぇよ…


…ふぅ、やっと一人か、3P100本インでもやるか。
気にしてないとか言ったけど、やはりどこかで二人きりになることを期待している自分の心に気付き赤面してしまう。

な、なに考えてんだろう
さっさとシュート打って帰ろ


シュート打って10分ほどたつとあいつ(ハンド部顧問)がクラブの練習から戻って来た。
こんにちは―なんて、やるせない声で言ってみるけど自然と上がる心拍数。


「よぉクラ、久しぶり、補習やったんかー。」

―はぁ、そうですけど

「頑張れよ、一人で。」

―…はーい

「一人で。」

―…はぁっ、何ですか


私の言葉は無視され、あいつは教官室の中にシャワーを浴びに行きやがった。

それからしばらくシューティング。
ショートばかりでボールがリングの下をすり抜ける。


三年間走りつづけてきたこのコートとも四年目にしてお別れか、という感慨に浸っていた。

…ら、外の静かさに気付いてあいつが出てくる。
教官室のドアを片手で押さえて片足に重心を置いて立つ。

「眺めててもシュートは入らんぞ。」
だってさ。

「ちょっと新チーム不安なんやろ。」と絡まれる、鬱陶しい。

二人きりのコート、カーテンの隙間から差し込んでくる光が少しまぶしかった。
もわっ、とした汗っぽい体育館の空気は思考回路をも停止させる。
二人の間に差し込んだ光が舞う。

「このまえさ、I橋がなんであれだけムキになったかわかるか?」
ちょっとおどけたようなあいつの声。



あのとき、とはある日の朝練のときにあいつが話しかけてきたとき。
「クラは高三が引退してもちゃんと部活おるよな?」と。
言葉を濁した私の横からI橋が突っ込んでくる。
「もちろん来るに決まってるやろ!!」と語尾を強く。




ボールを片手に、視線を地面に落とす。


「辞めよう、とか考えてるやろー。」
少し真面目な顔になって言う。
生徒がかっこいいと、キャーキャー言うのもうなずける。
…なんの魅力も感じないけどねっ。

―あー…
曖昧な声を出してみてごまかそうとしたけど、その無意味な音は、
「俺はなんでも知ってんねんでー、すごいやろー。」という妙に明るい自画自賛発言によってかき消される。

―…はい、そう考えてます。

「なんでや?」
やっとのことで教官室のドアをパタン、と閉める。
二人の距離が縮まる。


当然。
―勉強です。

あくまで今回は敬語は崩さず そのままで。
あいつはちょっとの間私から目を離して、ふぅ っと息をついた。


うちのクラブ構成メンバーは高1が私含め2人、中3が3人、中2が5人、中1がパラパラと。
とにかく部員が少ない、人数が足りなくて練習がまともにできないなんてことはしょっちゅうあるわけで。

「辞めたらI橋一人になっちゃうやん。」

…言うだろうなぁ、って思ってた。
そのことについては沢山たくさん考えたし、本人と話だってした。
きっとあいつは私が辞めようと『思ってる』程度にしかわかってなくて、辞めようと『考えている』なんてこれっぽっちも知らない…知るはずがない。
心のどこかで私のあいつの気持ちを確信しているから「自分なら辞めるのを止められる」とか思ってるんだろうな。
自身過剰な奴。


「勉強なんて、クラブしててもしてなくても関係ないだろ。」

…あきれた。
クラブと関係ないって?
どの口がそんなこと言えるんだか。
クラブ以外の何物でもないだろ原因なんて。
ま、ちょっと黙って聞いといたろ。

「そりゃぁちょっとは時間とられるかもしれんけど要は気持ちの問題やろ。
中学んとき皆が辞めていく中で残ろう、って続けてきたんやろ。
もうちょっと一緒に頑張ってみようや、俺とI橋と三人で。」


そんな真剣な顔して言うなよ…。

あいつのシャンプーの匂いがやけに鼻につく。
少し濡れた髪。


「聞いたるから、なんでも言ってみ」
ちょっと寂しげに笑いながら言う。
そういうふうに寂しそうに笑われるのに、弱い、とても。
だからあいつの顔から視線をぐいっと反らして言葉の続きを考えるふりをする。

あまりにも時間が開きすぎたせいかあいつが言葉をつなぐ。

「お前は俺に嘘付いたってばれるねんからな。
ちゃんと言えよ。」

…はぁぁ?
あいつは私の何なんですか、えっらそーに。

―はぁー?
声に出してもう一度言ってみる。
そうすることで少しでも不安をかき消す。
キッ、っと睨んでそっぽを向いてみる。

「ま、I橋よりできてない(=プレーが上手くない)のが気になるのもあるんやろうけどな。」

―そんなことは前からわかってることですよ。
強がり、バカみたい。
素直に言葉に出して泣きつくなんて真似できない。
ましてや、生徒と先生の関係なんだから。


<続きは次回>
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